この記事では、伊那市にある絶品の中国料理店『木燕(ムーエン)』さんについてお伝えしています。
今回木燕さんを記事で取り上げさせてもらえることになったのは、ある方からの依頼があったからです。
ある方とは、伊那市高遠町のクラフトビール醸造会社『PECCARY BEER(ペッカリービール)』の醸造責任者、林 亮(はやし りょう)さんです。環境に優しい農法で作られた、地元の生産物を使ったビールを作られています。
✔ PECCARY BEERのコンセプト
PECCARY BEERを伊那谷の美味しいものと一緒に楽しんでもらう。目指すのはローカルガストロノミー
✔ PECCARY BEERのミッション
伊那谷の魅力をビールを通じて表現し発信していく
ビールを通じて、この地域を面白くしていきたいし、この地域のおいしい食材や飲食店さんのことをもっと知ってもらいたいと思っています。
木燕では2019年6月のお店のオープン当時から、PECCARY BEERを取り扱っています。
木燕の店主、木嶋 正明(きじま まさあき)さんと、PECCARY BEERの林 亮さんお二人の伊那谷への想いを交えて、今回は木燕とPECCARY BEERのコラボ記事でお伝えしたいと思います!
- 木燕のお店にについて知りたい人
- 木燕の絶品中国料理の理由を知りたい人
- 伊那谷の美味しいものを食べたい、食には目がない人
木燕(ムーエン)へのアクセス
木燕はいなまち商店街から一歩裏路地に入ったところにあります。
伊那市駅からすぐ近くで、徒歩2分くらいです。
立地的にもお店の駐車場が用意できる場所ではないので、車で来る場合は近くのコインパーキングを利用してください。
周辺駐車場は赤で囲んである場所
★マークがついている駐車場は1時間110円です。それ以外は1時間100円で、入庫後1時間は無料です。
初めて行く人には、お店の場所が少し分かりにくいかなと思います。
伊那谷テイクアウトマーケットと、gram Houseの間の路地を進みます。
路地を奥まで進むと…
ありました!こちらの看板がお店の目印になります。
お店の外でも既にスパイスを炒めたような、いい香りがします。
こちらがお店の入り口です。早速入ってみましょう〜!
店主の木嶋正明さんをご紹介
出迎えてくださったのは木燕の店主、木嶋 正明さんです。
木嶋さんは若手料理人のコンテスト(RED)で受賞歴がある、実力派シェフ!
RED U-35受賞|木嶋 正明|シェフ |CLUB RED WEB
新時代の若き才能を発掘する、日本最大級の料理人コンペティション「RED U-35」の公式サイト。
出身は伊那市高遠町。
調理師専門学校を卒業し、千葉県と神奈川県で15年間料理の修行をしたあと、伊那市にUターンで戻って来られました。
木燕さんのこだわりの一つは、なんと調味料から自分で作っているところ…!
いわゆる豆板醤など、調味料15〜16種類を自分で作っています。
調味料は味の決め手なので大事ですね。売っているものだと物足りなかったりするんです。現地で食べたものにどうやったら近づけるかなと。
すごいですね!原料から選ぶんですね。
何が入っているか自分で分かったほうがいいですよね。
化学調味料はなるべく使わないようにして、自然のもの、なるべく熟成させたものをお出ししています。
薬膳アドバイザーの資格も取得されています
食べること=健康に直結することだと思っているので。
複雑な事をしなくても、日々の食事で身体に健康にいいもの、いいことを伝えられたらいいのかなと思っています。
お店のメインは中国内陸部(四川省、雲南省、貴州省)のお料理を扱っています。
海のない中国内陸部のお料理で、山の中で手に入る材料が限られてしまうので、ひと工夫した料理が多いです。
長野県の食文化に似ている部分も多いと思っています。
例えばどんな所が似ているのですか?
長野県でいうと塩イカみたいに、塩漬けにしたものがあり、塩抜きしないと食べれないとか。
手を入れないと食べられないものが多いのですが、そこが面白いなと思っています。
食材も似ています。中国内陸部はウリの種類が多いのですが、この地域も直売所に行けばウリがたくさん並んでいたりします。
「地元のものを使いたい」という気持ちと、内陸部と取れる野菜が近い部分がありますね。
PECCARY BEERと一緒に木燕のお料理を頂く
PECCARY BEER と一緒に、木燕さんのお食事をいただきたいと思います!
お料理の説明もたくさんしてくださいました!
エビチリ & オハヨー・ホワイトエール
まずはエビチリから。
エビは採れたら頭をとって氷水につける事が多いのですが、そうすると旨味がどんどん逃げてしまいます。水に漬けないでいいように、頭付きでも品質が落ちないよう瞬間冷凍できる設備を積んだ船で採れた、パプワニューギニア産の新鮮で状態のいいエビを取り寄せています。
設備にお金がかかる方法なので、その分お値段は高くなってしまうのですが、エビの質はどこにも負けてない自信があります!
プリプリの食感!エビの旨味がしっかりあり美味しかったです。
伊那谷の自然が育んだペッカリービールと、いなまち朝マルシェがコラボした「朝から飲める」がコンセプトのホワイトエール。コリアンダーとオレンジの爽やかな香りのする、フルーティーな味わい。ビールが苦手な方にも、もちろん夜にも。
春巻き & ジェフ・ペールエール
お次に頂いたのは春巻き。
油の使い方をとても大事にしています。春巻きはそんなに揚げていて大丈夫?というぐらい低めの油で長い時間揚げます。最後に温度を一気に上げて周りを固めて揚げることで、余分な油が入っていかずに油切れがすごく良くなるんです。
こ、これは…カリッカリの春巻き!スーパーで買う春巻きとは全くの別物…!
低い温度だけで揚げるとサクサクにはならず、ベターとなってしまいます。逆に高温だけで揚げると、周りだけガリガリになってしまって、中の何層にもなっているが生っぽい感じになってしまうんです。
初めてこんなサクサクで、美味しい春巻きを食べました!
それがお客様からお金を頂ける価値の部分になると思っています。
春巻き一つをとっても、スーパーで買うものよりは何倍ものお金をいただいているので、油の温度帯から気にしていかないと。
柑橘系のさわやかな香りに包まれたペールエールで、体も心もすっきりとリフレッシュ。
干し肉と青菜炒め & ジェレミーインペリアルスタウト
お次は干し肉と青菜の炒めもの。
干し肉は四川省のやり方で、味噌で付けています。中国の有名な詩人、李白(りはく)は四川省出身で、お酒が好きでした。味噌漬けの干し肉をお酒と一緒に食べながら、詩を書いていたお話も残っています。
その頃のお料理をイメージして作っています。
干し肉の深い味わいが黒ビールに合います!
チョコレートの上品な香りと酸味に生姜を加え、濃厚でコクのある大人のテイストに仕上げました。大人らしい時間を刻む黒エール。
麻婆豆腐 & ナガノ・アップルエール
次に頂いたのは、麻婆豆腐。
四川省の山椒で『漢源花椒面(カンゲンファージョーメン)』という高級なものを使っています。花山椒は開いた状態で種が落ちたものがランクが高いです。弾けた種が付いている場合もあるので、一個一個選別して取り除いています。 一般に花山椒と言われているものと3〜4倍値段が違いますが、しびれる刺激も、香りも全然違います。産地の名前が入っているブランド山椒になります。
めくるめく、スパイスの香りがすごい!めちゃくちゃ美味しいです!
中国の「陳麻婆豆腐店」という麻婆豆腐の元祖と呼ばれている店のお料理をイメージしつつ、日本の人にも食べやすいように作っています。
山椒などの調味料はきちっとしたものを使わないと、一味変わってしまってお料理に説得力がなくなってしまうので、とても大事ですね。
油もたっぷり使われていますが、全然重く感じません。これにはびっくり!
中国料理=油で熱を加えるという料理になるので、温度帯、状態をキチンと意識して気を使わないといけません。
温度が低いとベタベタして重くて食べられないです。逆に温度が高すぎると焦げたようなすす臭い匂いがします。
こだわりの花山椒を更にかけると、またスパイスの香りが華やかでした!
ご飯のおかわりもできるので、おなかいっぱい頂けますよ。
長野県箕輪町のリンゴを使った少し酸味のあるエール。
味のあるリンゴをふんだんに使い、柔らかい甘みと互いに影響しあった香り。凛とした味に仕上げました。
木燕とPECCARY BEER 店主対談
白菜の漬物と水餃子のスープいただきながらの、木燕とPECCARY BEERの店主対談をぜひご覧ください。
お二人がどのような事を大切にしてサービスや商品を作られているかが、伝わって来ると思います!
白菜の漬物と水餃子のスープ
乾かした白菜を米の研ぎ汁につけて乳酸発酵させて付けた漬物と、水餃子をスープにしたもの。塩、薄口醤油、魚醤をちょっとだけ入れているだけで、ほとんど漬物の味わいから出てきた味。漬物は2周間くらいつけたもので中国では保存食。
冬の時期に中国の山間の方にいくと、白菜がばーっと干してあって、その時期に1年分漬けるんです。木曽のすんき漬けと同ような感じですね。
ご自分で作られている調味料とか、このスープの白菜も発酵じゃないですか。発酵の魅力はどんなところですか?
一番は自分の思い通りにならないところですね(笑)
思ったより酸っぱくなったなぁとか、思ったより発酵が進まないぞとか。
調べてみると、中国と日本の違いが分かります。日本の方が湿気の多いとか、日本の方が温度が低かったとか。
だから中国ではこういう料理が生まれたんだなぁとか。表面的ではない、本質を大事にした料理につながっていると思います。
PECCARY BEERさんは、本業とされている有機農家「ORGANIC FARM 88」(オーガニックファーム88)で、発酵を取り入れた有機農法をされています。
家畜糞(鶏糞や牛糞など)を使わないやり方で10年以上野菜の有機栽培を行っている。肥料は地元で手に入る麦や大豆を自分で発酵させて、ボカシを作ったり、きのこやさんの廃菌床を発酵させて使っている。
発酵させた肥料の香りがとてもいいんです。きのこの廃菌床なんて、芳醇なチョコレートみたいなお酒みたいな香りがします。
食べられるぐらいの発酵堆肥・肥料を使って野菜をつくると、本当に美味しい野菜が取れるんです。
農業もビール作りも厳密には自分たちにできることは何もなくて、土の中の微生物だったりビール酵母が働いて、野菜やビールができると思っています。
その酵母たちが働ける環境を作るというのが、ビール醸造家の仕事で、農家は畑の微生物が働ける環境を作るというのが農業者の仕事だと思っています。
料理も本質が大事だと思っています。
そのお料理が作られるまでの歴史や、その地域の風土などがあります。作り方だけ覚えて出しても、薄っぺらい料理になってしまいます。
そこに至るまでの本質を理解して、どうしてそこの地域ではでそのような料理が生まれたのかという食文化や風土をきちんと勉強しないと、説得力のある料理がお出しできないと思っています。
辛い料理とお酒はなかなか合わないイメージだったのですが、辛いと言うよりはスパイシーな木燕さんのお料理だったら、クラフトビールやワインも合うと思いました。
素材から厳選して使っているスパイスの香りもあるので、思っている以上に合わせられるとは思います。
この料理だったら、自分はこれが飲みたいなというのをイメージして選んで置いています。
木燕さんでは、地元3社(PECCARY BEER、In a daze Brewing、南信州ビール)のクラフトビールを扱っています。
- PECCARY BEER … オハヨー・ホワイトエール、各種
- In a daze Brewing … 伊那日和ペールエール
- 南信州ビール … ゴールデンエール
木燕店主がオススメするPECCARY BEER推しの一杯
PECCARY BEERの中で、好きな種類を教えてください。
オハヨー・ホワイトエールですね!ホワイト系のクラフトビールは珍しく、軽い飲み口ながらキチンとビールの味がします。お店には常に置いています。
伊那谷の自然が育んだペッカリービールと、いなまち朝マルシェがコラボした「朝から飲める」がコンセプトのホワイトエール。コリアンダーとオレンジの爽やかな香りのする、フルーティーな味わい。ビールが苦手な方にも、もちろん夜にも。
そしてこのビールに合わせたいお料理は、豚皮チップスの雲南タイ族トマトソース添えです。
豚皮チップスの雲南タイ族
トマトソース添え ¥900
豚の皮を干したもの揚げたサクサクのチップスと、唐辛子を使ったタイ族の
トマトソース添え
これ、豚の皮なんですね!言われないと分からない見た目ですね。
豚の皮を干したものを揚げるとえびせんのようなサクサクのチップスになるんです。
世界的に見ても豚皮チップスを食べている地域は東南アジアやメキシコなどです。
メキシコと言えば軽めのビールもおいしく、サルサソースのようなトマトを使った辛いソースなどありますが、タイ族のトマトソースもトマトや唐辛子を使います。
全く離れた地域でもこう言った食文化で繋がる。とても面白い事だと思います。
秘境の地に行かないと食べられないようなメニューに感じますが、木燕さんでいただけるとは。
このメニューを置いているお店はなかなか珍しいと思います(笑)
木燕メニュー
今回伺ったランチタイムのメニューはこちら
飲茶コース ¥2,700
(2名様より)
- 前菜三種盛り
- ショーロンポー
- 大根もち
- 春巻き
- その他2種
- お食事
- デザート
※ワンドリンク(下記よりお選びください)
ランチコース ¥3,800
(2名様より)
- 前菜五種盛り
- 点心二種類
- 本日のお料理三種類
- 本日のお食事
- デザート
※ワンドリンク(下記よりお選びください)
ランチセット
<木〜Mu〜>
¥1,250
- 小鉢
- メイン(下記よりお選びください)
麻婆豆腐とライス
汁無し担々麺
汁有り担々麺
葱油鶏とライス
※ワンドリンクを¥300で付けられます
ランチセット
<燕〜En〜>
¥2,200
- ワンドリンク(下記よりお選びください)
- 前菜三種
- ショーロンポー
- 水餃子
- メイン(左記よりお選びください)
- デザート
ワンドリンク
ハイボール / カメ出し紹興酒 / アイス烏龍茶 / リンゴジュース / ハウスワイン赤 or 白(+100円)/ ノンアルコールビール(+100円)/ 中国茶(5種類から選ぶ:プーアール茶、東方美人、凍頂烏龍茶、ジャスミン茶、女性の冷え性などに効く八宝茶(+100円))
テイクアウトのお弁当は下記2点から
※当日の注文でも対応可能です。
麻婆弁当 ¥1,250
台湾風ルーロー飯弁当 ¥1,100
オードブルもテイクアウトできます!
新型コロナウイルスの影響で暫く限定メニューで対応をされています。ディナーメニューを含め、詳しくはこちらのページでご確認ください↓
木燕 最後に
デザートにいただいたタロイモのお汁粉の美味しさが忘れられません…
上にかかっているのは紫芋パウダー。ココナッツミルクとお芋の優しい味が食後に身体に染みました。
正直、伊那でここまでの中国料理を頂けたのは感動でした!
みなさんに美味しいと言っていただけるようになっただけでも、自分のやってきたことは間違いではなかったと思っています。
伊那に行ったらこんなお店があるよ!って言ってもらえるような、この地域を知っていただく為の『小さな窓口』になれたらと思っています。
木燕さんの店内はテーブル席が2つになり、予約はした方が確実です。
ふらりと来ても席が埋まっている事が多いです。
子連れでも快く対応して、娘の年齢を聞いて2歳の娘の体のに合うように、椅子をセッティングしてくださっていました。ありがとうございます!
伊那市で、中国の長い歴史と文化の厚みを感じられるお料理がいただけます。
伊那谷の食材の豊かさも併せて感じられるお店です。
ぜひこの感動を体験してみてくださいね!
木燕 店舗情報
定休日 | 日、第二月曜 |
営業時間 | 11:30〜14:00(13:30 L.O.)、17:30〜22:30(21:30L.O.) |
住所 | 長野県伊那市荒井3447-3 |
TEL | 0265-97-1401 |
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※食べログの口コミ2件は実際には星4以上ですが、まだ投稿数が少ない為に食べログ独自の計算システムにより総合で星3となっています。
※この記事の情報はあくまで掲載時点での情報ですので、ご了承ください。
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