この記事では、伊那市高遠町でクラフトビール製造を行うPECCARY BEER(ペッカリービール)さんについて特集しています。
クラフトビールの製造を行っているのは、
林 亮(はやし りょう)さん。
2011年に神戸から伊那市に移住し、有機農法で主にズッキーニとミニトマトを作る、オーガニックファーム88という農家でもあります。
農業を始めて2021年で11年目になります。
農業をしながら、ビール造りは2018年から始めました。
ビールの原料となるモルトはオーガニックというこだわり。また副原料となるりんごやハチミツなどの農産物も、伊那谷の特産品にこだわって作られています。
地元でも味に評判のある飲食店や、宿泊施設で取り扱っていただいています。
ビール造りも3年目となる2021年、PECCARY BEERは新しいビールへ挑戦するため、クラウドファンディングを立ち上げます!
日本ではほとんど誰もやったことがないのでは
と思われる、薪の火で造るビール、その名も
『縄文エール』。
どのような想いで挑戦されるのか、取材させていただきました!
ビール造りにかける亮さんのアツい想いをお伝えします!
- PECCARY BEERについて知りたい人
- 『縄文エール』のクラウドファンディングについて知りたい人
- 楽しみながら挑戦している姿に、思わず応援したくなるような人と出会いたい人
6/2スタート!
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PECCARY BEER 南アルプスの麓に
あるブルワリー
PECCARY BEERのブルワリーがあるのは、南アルプスの麓、伊那市高遠町。
標高1000mの山間にある、周りを田んぼに囲まれた建物が、亮さんがビールを造っている場所です。
以前はこの地域の厳しい寒さを活かした特産品
『寒天』を作るための建物でした。
真夏になると30度を超える建物の中でのビール造りは、クーラーをかけながら、冬の瓶詰め作業は足元がとても冷えるので、足湯をしながら行うそうです。
足湯をしていると、ポカポカして逆に健康になります(笑)
すぐ近くの山から湧き出る水を使って農業と、ビール造りを営んでいます。
山のすぐ近くで農業をやって、ビール造りもやって。
雨が降らず取水制限になるような年でも、川の水は刻々と流れています。
そんな時に山の大切さというか、山のおかげで僕たちは水を使えて、生きているんだなというのを思い知らされます。
川の水から、山のありがたさを感じられるんですね。
最近は雨が数ヶ月も降らないことはざらにあります。畑もカラカラになり植物が水を求めていることを感じます。
ですが、川の水は無くならずに刻々と流れているんです。
亮さんが普段どんな風にビール造りを行っているのか、情景を感じながら垣間見ることができる映像です↓
ビール造りを始めた理由
クラフトビールとの出会いは、2014年に家族でニュージーランドに3ヶ月間滞在した時でした。
現地のスーパーの棚に、上から下まで数え切れないぐらい並べられていたクラフトビールの数々。
飲んでみるといろんなフレーバーでどれも美味しくて。
数が多くて選ぶのが大変だったけど、楽しかったことが印象的でした。
亮さんが帰国して、日本では使われなくなってしまった田んぼや畑が増えているのを目の当たりにして、感じたこと。
それは、日本で流通しているビールの原料は、ほとんどを海外からの輸入に頼っている中で、「麦とホップを自分の手で作り、この場所でしか造れない美味しいビールが造れたらいいな」ということでした。
そんなワクワクした思いつきが、最初のスタートでした。
ビール造りを通して伝えたいこと
ビール造りを始めて3年で商品化したビールは定番のラインナップが5種類に、限定品が3種類。
定番ラインナップ5種類
蜂蜜の魔法にかけられた、ほんのり甘くさわやかなぺールエールで、心も体も美しくリラックス。
柑橘系のさわやかな香りに包まれたペールエールで、体も心もすっきりとリフレッシュ。
チョコレートの上品な香りと酸味に生姜を加え、濃厚でコクのある大人のテイストに仕上げました。大人らしい時間を刻む黒エール。
伊那谷の自然が育んだペッカリービールと、いなまち朝マルシェがコラボした「朝から飲める」がコンセプトのホワイトエール。コリアンダーとオレンジの爽やかな香りのする、フルーティーな味わい。ビールが苦手な方にも、もちろん夜にも。
長野県箕輪町のリンゴを使った少し酸味のあるエール。
味のあるリンゴをふんだんに使い、柔らかい甘みと互いに影響しあった香り。凛とした味に仕上げました。
原料には主にアイルランドやベルギー産の、7〜8種類のオーガニックモルトを使います。
副原料には、ここ伊那谷でこだわって作られている、りんごやハチミツなどの農産物を使います。
ペッカリービールは
メディアでありたい
亮さんはそう話します。
伊那谷にはいいものがたくさんあるけれど、まだ他の土地の人には知られていないことが多い。
またそれが当たり前すぎて、その良さに気づいていない地元の人も多いです。
伊那谷の美味しい農産物を原料に使うことで、その生産地である伊那谷に
興味を持ってもらいたい。
伊那谷の魅力をビールを通して伝えたい
そんな想いがクラフトビール造りを地域の活動として、また社会的な活動として、位置付けるようになりました。
薪の火で造る『縄文エール』への挑戦
世界中にはその地域ごとに独自のビールがあり、ペッカリービールではアメリカンスタイルをビールの基本としています。
今年でビール造りを始めて3年が経ち、地元の農産物を取り入れながら造る、PECCARY BEERのアメリカンスタイルのビールの基礎は完成しました。
これからは遊び心を取り入れた、伊那谷のこの場所だから造れるビールを更に展開していきます!
伊那谷の隣にある八ヶ岳山麓を中心としたこの辺りは、縄文文化が栄えた場所で、『縄文銀座』とも呼ばれています。
PECCARY BEERがある伊那市高遠町藤沢は、伊那谷と八ヶ岳のちょうど間に位置する場所で、両方の地域の影響が残る場所です。
息子が通う小学校には縄文の遺跡が残っていたり、校庭でも縄文時代に矢じりに使われていた黒曜石が発見されるなど、身近に縄文文化を感じることも多いです。
小学校の校庭でですか!?
そうなんです。
子どもが家で、拾ってきた黒曜石で矢じりを作って、そのカスを妻が踏んで血だらけになったり(笑)
そ、それは痛そう…!!
身近に縄文文化があるなと思っていました。
また縄文文化について調べれば調べるほど、縄文時代は実は豊かで精神性の高い文化だったのではと、惹かれるものがありました。
実際に縄文時代の人がお酒造りに使っていたのではと言われている『有孔鍔付土器(ゆうこうつばづきどき)』。
土器の上部を一周するように小さな穴が空いていて、アルコール発酵をしているときに出る炭酸ガスを、そこから逃がすようにしていたのではないかと言う説もあります。
えっ、ということは!?
その土器を眺めながら「縄文の人達は薪でお酒を造っていたはず。もし縄文人がビールを造っていたら?」という、時を超えた空想からこの商品は始まりました。
縄文エールに込めた想い
薪の火で造るということ
縄文エールは『薪の火』で造るビールです。
冬はマイナス10度を下回ることもある伊那谷で、亮さんの自宅では薪ストーブで暖をとったり、お風呂は薪で沸かしたり、普段から薪を使った暮らしが身近にあります。
薪の火で作ったご飯は、味がとても美味しくなります。
薪の火で沸かしたお風呂は仄かに木の香りがして、ガスで炊いたお風呂とは身体の温まり方が全く違うことも感じています。
ガスが使われ始めたのは明治時代からなので、昔の人達は薪でお酒を造っていました。
昔は日本酒は薪で作っていたんです。
昔は薪で造るお酒が、普通だったんですね。
今の時代だと、日本で薪でお酒を作っている所はまず聞かないですね。
日本初かも!? すごく貴重なお酒になりそうですね。
これは飲んでみたい!
薪の火で造ったビールは、
きっと美味しいものになる!
そう確信を持って、亮さんは『縄文エール』造りにチャレンジします。
原料となる栗とスペルト小麦
原料には、縄文人たちが秋から冬にかけて主食にしていた栗を使います。
縄文時代ですでに、栗は品種改良して栽培されていた(良く実る栗を選別して育てていた)という事も分かっています。
ええっ!そうだったんですか。
縄文時代は食がすごく豊かだったんです。
春は山菜、鹿、イノシシ、秋はみやまぶどう、栃の実を食べたり。
栗は保存食でもあり、主食にしていたんじゃないかと言われています。大きな木にたわわに実るので、たくさん採れてそりゃ主食にできますよね。
ここ伊那谷は現在でも栗の栽培が盛んな地域でもあり、地元産の甘くて美味しい栗を使います。
また同じ地域で農業をする友人『おかめひょっとこ農場』さんが有機栽培で作る、ヨーロッパでは5000年以上前から栽培されているスペルト小麦も副原料として使います。
スペルト小麦は普通の小麦と比べて2倍ほどの大きさで、原種に近い希少な小麦です。
スペルト小麦は雨に弱いんです。
日本で栽培しづらいけど、この辺りの気候は乾燥しているので栽培しやすいです。
日本で栽培しているところは少なくて、ましてや有機だと難しいので、かなり貴重な麦になります。
日本で縄文時代から作られていた正式な記録はありませんが、日本にも伝来していたかもしれませんね。
地域の資源を活用しながらビール造りがしたい
PECCARY BEERのある地域は山肌をすぐ近くに感じられる場所で、周りにエネルギー資源として使える木がたくさん植林されています。
昔、建築材料用に植えた杉などが、海外からの材の方が安くなり売れなくなってしまいました。
手入れされなくなってしまって、建築材料にもできず、木が厄介者にされている現実があります。
切って市場に持っていっても赤字になってしまうんです。
そんな現状があったんですね。
一方で日本はエネルギー資源に乏しく、遥か遠くの中東から輸入されるガスや石油に頼っています。
3.11で電力供給が停まってしまったように、現代社会はそういう脆さの上に成り立っています。
現代では見向きもされない地域の資源を活用できないだろうか。
森からの資源を
使わせてもらいながら、ビール造りがしたい
薪を使ってのビール造りには、亮さんのそんな想いもあります。
縄文時代の主食であった栗と、古代から作られていたスペルト小麦を入れて、薪の火で造るビール。
「もしかしたら縄文人はこんなビールを飲んでいたのかも。」
そんなワクワクする想像が、掻き立てられるようなビールを造りが始まります!
時を超えたテロワール。
縄文エールを飲むその瞬間に、ここ伊那谷の恵みと、古代からの変わらない薪の火が持つエネルギーを感じてもらえるはず。
薪の火の楽しさも感じながら造り、美味しく飲んでいただける『縄文エール』をお届けします!
PECCARY BEERの目指すビジョン
ビールを造ったあとにはたくさんのビール粕が排出されます。
このビール粕は火が通っているので畑には最高の肥料になり、美味しい野菜を作ることができます。
いずれは自分の畑でビール造りに使えるだけの麦とホップを自分で作り、それを使ってビールを造っていきたいです。
一昔前、伊那谷は信州早生(しんしゅうわせ)というホップの一大生産地だったこともあり、気候がホップの栽培に適しています。
伊那谷では昔、大芝高原周りでもさかんにホップが栽培されていました。
栽培経験のある地域のおじいちゃんに聞くと「5mまで上げるんだよな」「うちの納屋にまだ乾燥機があるぞ」とか、経験談を話してくれます。
5mもの高さ!?
ホップってめちゃくちゃ大きくなるんですね。
ホップは今ほとんど輸入品に頼っています。
大手のビール会社も含めて、国産のホップは1% しかないですね。
ペッカリービールでは、ホップの栽培自体は始めており、『ホップの収穫イベント』もこの夏に予定しています。
夏、ホップを収穫していると、なんとも言えないホップのいい香りするんです。
ホップ農家さんにしか体験できない香りですね!
どんな香りなのか、気になります!!
ぜひこの希少な体験を色々な人にしてもらいたい、この香りを体験してもらいたいと思っています!
また採れたてのフレッシュホップをビールの中にポンっと入れて飲むと、乾燥ホップでは味わえないフレッシュホップの香りを楽しめます。
さわやかそう〜!
伊那谷の美味しいものを食べて、採れたてのホップを入れた最高のビールを飲んで、そこで仲間を作ってもらえるような企画を考えています。
ホップの収穫体験を通して、PECCARY BEERを人の集まる場所にしたいと話す亮さん。
この地域に興味を持ってくれる人とか、ふるさとがない人が毎年のイベントに参加して、それが移住に繋がったりとか。
そういう事に繋がっていけばいいなとも思っています。
最後に質問です。農業とビール造りの両立はどのような方向性で考えられているのですか?
農業やめてビールの方にシフトするんですか?とよく聞かれるんですが、それは違います。
一生農業をしていくつもり。ビールは農業のためであり、農業はビールのためでもあります。ブルワリーと農業が循環していくことを目指しています。
そうなんですね!
農業が文化を作っています。どんな職業でも農業がなくなってしまうと、成り立たなくなります。
でも農家が今大切にされていない感じなので、それを応援したいと思っています。
自分も農家だけど、そのためのビールでもあります。ビールはツールでもあります。
『縄文エール』クラウドファンディングを応援!
縄文エールを飲むその瞬間に、ここ伊那谷の恵みと、古代からの変わらない薪の火が持つエネルギーを感じられるはず。
純粋に薪の火は楽しいですよね。
楽しんで造って、それに共感してくれる人がいたら嬉しいです。
造り手側の楽しさも伝わり、完成を期待させられます!
『縄文エール』造りに挑戦することで、薪のある暮らしやその背景にある日本のエネルギー問題に、関心を持ってくれる人が増えたらいいなとも思っています。
薪の火で造られた縄文エールを味わいながら、これからのPECCARY BEERのビジョンを感じ一緒にワクワクしてみませんか。
6/2スタート!
\ クラウドファンディングページはこちら /
私もクラウドファンディングページの文章を、お手伝いさせていただきました!
楽しみながら応援していただけると嬉しいです!!
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